酒商類の勉強会 へようこそ。こちらは、日頃、知識向上のため従業員が一丸となって、勉強会を開催している内容をご紹介いたします。 酒にまつわることをが発見できるかもしれません。。。
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酒商類の勉強会 へようこそ。こちらは、日頃、知識向上のため従業員が一丸となって、勉強会を開催している内容をご紹介いたします。 酒にまつわることをが発見できるかもしれません。。。
お酒と上手に付き合うには
お酒と上手に付き合うには、飲むお酒の特性を理解するのが重要だと思います。また、飲みすぎないように、各自の自覚も大切です。
始めに、代表的なお酒のアルコール量を簡単に説明すると、日本酒一合とビール大瓶一本、ウイスキーのダブルグラス一杯がほぼ同量である。
ここで、平均的な日本人がほろ酔い状態になるのは、日本酒2合~3合であることも、併記しておく。
ビール党の人へ
ビールのアルコール分は、3~5%、大瓶一本のアルコール量は22.3gで、エネルギー量が247kcalと、酒類の中で最も高い。日本人の飲酒量の許容量は大瓶三本である。ビールに含まれるポリフェノールは動脈硬化を予防してくれるが、この抗酸化力が最も強いのが麦芽100%のビールである。次いで黒ビールとなっている。
ビールは酒類の中でプリン体の含量が最も多く、大量飲酒の若年者にも典型的な痛風患者が増大している。予防として、日ごろ、プリン体を多く含む肉類、レバー、肉エキス、豆類を減らし、野菜、海草、果実、乳製品などを中心に偏らない食事を摂ることが必要である。
焼酎党の人へ
焼酎のアルコール度は20~45%、一合のアルコール量は約150~260kcalと、酒類の中でウイスキーに次いでエネルギー量が低い。蒸留酒は糖分やアミノ酸、脂肪などの成分が含まれないためである。日本人の飲酒量の許容限度はお湯や水で割ったもので三合である。焼酎は中性飲料のため、飲酒の際は適当なアルカリ食品である野菜、海草、根菜類、果実なども多く摂りたい。ごく微量であるが、揮発成分の中に血栓溶解能力を含み、ストレスの多い中高年者にとっては、脳血管疾患の防止に有益である。
「杜氏」の語源
酒造りの最高責任者は杜氏と呼ばれるが、その語源については諸説ある。平安時代に酒の保存容器として使用された瓶のことを「刀自(とじ)」と呼んだが、朝廷の造酒司では最高責任者がこの瓶を管理したことから、後世になっても、酒造りの責任者のことを刀自→杜氏と呼ぶようになったとするもの。また、昔から酒と神社のつながりは深く、杜氏の「杜」は神社の「社」に通じる言葉。神にささげる御神酒造りの責任者なだけに、この言葉で呼ばれるようになったとする説も有力。このほかにもいろいろな説がある。
ぐでんぐでんに酔っぱらった状態を「泥酔」というけれど、その語源は中国の唐の時代にまでさかのぼる。杜甫の詩にある「酔如泥(すい、でいのごとし)」という一節からきたもの。「泥」とは、南海に住み、骨が無くて水が無いと泥のようになると考えられている。 その様がひどく酔った状態に似ていることから、「泥酔」と言うようになった。
自分が飲んだことのない日本酒をお客様に勧める際、分かりやすいのは生産地の食
文化を想像してください。なぜならば、日本酒と郷土料理には深い繋がりがあるから
では具体的に食文化と日本酒の味は、どう関わっているのだろう。まず大きくは山
と海、そして日本海側と太平洋側に分けて考えることができる。山と海では、食文化
は大きくちがってくる。海では、魚料理が多く、しかも新鮮なために生でも食べられ
るし、「わた」とあえる珍味も多い。山となると、たんぱく質をとるには保存食に頼
ることが多くなり、漬物や干物など塩分の多い料理になる。山で狩りをしてとれるク
マやウサギなどの肉も、いつもコンスタントに手に入ることは少ないし、肉そのもの
も臭みがあるので料理は濃い味つけにすることが多い。
そこで海の食文化圏の日本酒は、鮮魚の生臭さに合わせるために淡麗なものが多く
なる。しかも料理があっさりしているので辛口が多い。一方、山の食文化圏では、保
存食の濃い塩分や、味つけの濃いこってりした料理に合わせるために濃い口でどっし
次に、日本海と、太平洋の味比べをしてみよう。日本海側では、冬雪に閉ざされる
時間が長く、生活の中の日本酒は長時間かけて飲み続ける傾向が多い。また日本海の
魚は、身が締まっている。そのため酒も繊細な資質に仕上がっている。逆に太平洋側
では、比較的気候が安定しており、おおざっぱな飲み方が多いのではないか。さらに
太平洋側の魚は、味がおおらかなものが多い。そこで日本酒の資質としては豪快でお
おらかなものが多くなる傾向にあるように思える。
この基本さえ押さえれば、その地方の郷土料理の味と、人々の生活を想像するだけ
基本的な日本酒の味や資質が大まかに理解できるようになるはずだ。
このように酒の生まれた土地について想像力を養っていくことで、その日本酒に合
うつまみや料理が思い浮かんでくるし、海か山か、日本海側か太平洋側かを知ること
で、ある程度は酒の味の想像がつくようになる。
ポイント
1 日本酒の生産地の生活や郷土料理を想像しながら薦めたら?
2 海の酒は淡麗辛口、山の酒は濃厚
3 日本海側の酒は繊細、太平洋側の酒は豪快
4 日本酒通への近道は想像力
● 前玉泡
発酵している醪表面の泡の一つの状態を指す。玉泡の初期の状態で、これから徐々に玉泡が小さくなっていく。留添後二週間ほどの時期。
● 松尾様
日本酒の神様のひとつ。
● 見掛精米歩合
米を精米した時、「見掛上」どのくらい米が削られたかというもの。米を精米した後の重さ(白米重量 ㎏)÷精米する前の重さ(玄米重量 ㎏)×100=(%)で計算。通常、精米歩合70%(30%削って捨てた)というのは、この見掛精米歩合を言っている場合が多い(vs真精米歩合)。
● 水泡
発酵している醪表面のあわのひとつの状態を指す。留添後3日~4日で出る、白くて軽い泡。糖分の度合いは最高値、つまり、麹の働きが最高潮に達したということ。
● 水切り
洗米した米を一晩ムシロに広げて余分な水分を切ること。そして、米の中心まで水分が均等に行き渡っているかをチェックする。不足のときは、霧吹きなどで水分を足してやる。
● 水麹
酛麹に水を混ぜて撹拌した麹。
● 水槽
日本酒を搾るとき、だいたい三段階に分けてそれを行うが、最初の段階(荒走)と中間の段階(中取)を特に水槽という。(vs責槽)。主に、槽を使って搾った時の言葉。
● 水酛
生酛系酛の一つ。
● 美山錦
長野県で開発された酒造好適米。
● 蒸し取り
蒸米を甑から取り出す作業。たいへん重労働である。
● メイラード反応
日本酒の劣化のこと。アミノ酸や糖分の多い日本酒ほど劣化が早い。
● メシ麹
馬鹿破精のひとつ。ベッチャッと、手で簡単に潰れてしまう麹。しかし、使えなくはない。
● もち米四段
四段掛け方法の一つ。通常、醪が出来上がった時点で甘味調整をするが、その時、もち米を蒸して添加する方法をいう。
● 酛
酵母という(ブドウ糖をアルコールに変える)微生物を、タンク内で純粋に大量培養した液。同時に、乳酸菌がつくり出す乳酸(酵母に危害を与える雑菌を駆除する働きをする)も大量にあるもの。「酒母」ともいう。
● 酛麹
酛造りに用いるための麹のこと。酵母が養分を取り入れて増殖できるように、酵素力が豊富で、ビタミンやアミノ酸が十分あるように造られる。よって製麹時間は長い。
● 酛屋
酛造り一切を取り仕切る責任者で、日本酒造り三役の一人。
● 酛四段
四段掛けの方法の一つ。通常、醪が出来上がった時点で甘味調整をするが、その時、酛を添加する方法をいう。
● 揉み上げ温度
床揉みを終わったときの蒸米の温度。
● 木綿搾り
日本酒を搾るときに使う木綿製の袋。「木綿に柿渋」といって、柿の渋で染めたものが良いとされている。
● もやし
「種麹」の別称。蒸米に種麹をつけた形がもやしに似ていることから付けられたもの。
● 盛り
麹を造る際、その途中で行う品温調製のこと。床揉み後20時間~22時間経つと、急激に品温が上がり、大量の炭酸ガスが発生する。放っておくと麹菌の増殖が止まってしまうため、麹米を広げて一升ぐらいずつ分けて箱に入れ、温度を下げる作業。
● 醪
仕込みタンク内で米が発酵しているもの、そのもののこと。
● ヤマコン
「付け香」の別称、発酵中に出る香りを集めて冷蔵した捕香液のこと。それを出来上がった日本酒に添加し、あたかも初めからあった香りのように見せかけること。この方法を考えた三人の名前から採ったネーミング。
● 山卸
精米歩合を高める作業のことで、半切桶の中に蒸米と水を入れ、櫂ですり潰す大変重労働な作業をいう。
● 山田錦
酒造好適米の王様と言われる米。寒冷地には不向き。
● 山廃
「山卸廃止」の略。山卸と言う作業を止めて、酛立てを行うこと。明治末に開発された方法。精米機が発達し、高精米が可能となったことから実現した。
● 山廃吟醸原酒
加水調整をしていない山廃吟醸酒。力強く、男らしい味わいが特長。
● 山廃吟醸酒
米・米麹と香味調整の目的で用いる醸造アルコールを原料に、山廃酛を用いて造った吟醸酒。
● 山廃純米吟醸酒
米・米麹だけを原料に、山廃酛を用い、吟醸造りでできた日本酒。
● 山廃純米原酒
加水調整をしていない山廃純米酒。若く、荒々しい酒質が特長。
● 山廃純米酒
米・米麹だけを原料に、山廃酛を用いてできた純米酒。濃醇で、ハードな酒質が特長。
● 山廃純米大吟醸酒
山廃純米吟醸酒の精米歩合を50%以下に高めた日本酒。
● 山廃大吟醸酒
山廃吟醸酒の精米歩合を50%以下に高めた日本酒。
● 山廃酛
山卸廃止酛の略で、生酛系酛を代表する酛。仕込み時に、既製の乳酸を添加しないで、自然の乳酸菌の育成を導き、酛中に乳酸を生成させて酵母を純粋に培養する方法。仕込みは通常6℃~8℃の低温で行われ、4日~5日その温度を保つ。この時期を打瀬といい、硝酸還元菌によって亜硝酸が生成される。この間に酛のタンク内を櫂でつつき米をすり潰す山卸の作業をしないことから山卸廃止→山廃の名称が生まれた。濃醇で、腰の強い酒質となるため純米酒などによく使われる。
● 融米仕込み
米を10%ぐらい精米し、そこで熱湯の中に米を入れて融かし、仕込む方法。コストは安く上がるが、腰のない日本酒ができる。
● 四段掛け
発酵が完了した時点で、甘味調整すること。その方法は、「甘酒四段」「うるち米四段」「酵素四段」「もち米四段」「酛四段」などがある。
● 冷酒
冷やして呑むことを前提に造られた日本酒のことだが、こういう種類の日本酒があるわけではない。
● 冷蔵貯蔵
貯蔵を冷蔵して行うこと。「低温貯蔵」ともいう。
● YK35
「Y」は山田錦、「K」は協会9号酵母、「35」は精米歩合35%の意味。
● 割水
「加水調整」の別称、同義。アルコール度数の調整のために、日本酒を水で割ること。
● 焙炒造り
お米を10%くらい精米して、そこで熱風をあててお米を融かし、仕込む方法。味のほうがいまいちなのはいうまでもない。
● 馬鹿破精
破精の一つの状態を指す。お米の全表面および中心まで破精込んでしまう「総破精過多症」の状態をいう。良質な日本酒つくりにはむかない。
● 破精
麹菌の菌糸がお米に食い込んでいる状態を指す。麹菌の酵素がお米のデンプンをブドウ糖に分解している証である。
● 破精落ち
まったく破精ていない麹。使えない。
● 破精込み
麹菌の菌糸がお米に食い込むこと。
● 初添
三段仕込みの初回。
● 八反錦
広島県で開発された酒造好適米。
● 初呑切
冬の間に仕込んで、貯蔵~熟成させている日本酒の「熟成度」「酒質」「火落菌」などを、仕込みタンクごとにチェックし、成分分析する最初の官能検査作業。毎年、六月~八月に実施されるが、その後も必要に応じて適当な時期に行われる。醸造試験所関係者・税務署関係者・卸問屋関係者、そして蔵元・杜氏・出荷管理責任者などが集まり、利き酒を行う。造りを無事終えたという、一種イベント的意味合いもある。
● 発泡清酒
アルコール分の少ないライトな日本酒に、二酸化炭素(炭酸ガス)を吹き込んだ日本酒。
● 火入れ
日本酒に熱をあて加熱殺菌すること。通常二回、貯蔵前と瓶詰めに行われる。汚染の防止と熟成中の味に関係するため、日本酒にとっては非常に重要な作業。
● BY
Brewer Yearの略。醸造年度のこと。
● BY大吟醸酒
大吟醸酒の一年ものを指す。
● 火落ち
火入れしたにもかかわらず、それに漏れた(落ちた)菌(火落菌)が増殖し、香味が劣化すること。
● 火落香
火落菌の繁殖により生じる臭い。つわり香に似ている。
● 火落菌
日本酒を混濁させ香味を悪くする細菌。乳酸菌に属する菌で、ある程度アルコールがあった方が、良く育成する変わった菌。
● 引き込み
荒息を抜いた(ざっと熱を冷ました)蒸米を、麹造りのために麹室に運び入れること。また、利き酒で口に含んだ日本酒の香りを見る時、鼻から息を抜くこと。
● 秘蔵酒
五年以上貯蔵~熟成させた日本酒。
● 老香(ひねか)
熟成が過剰となった時に出る臭い。焦げっぽい臭い。
● 冷やおろし
貯蔵前だけの火入れを行い、秋に出荷される日本酒。新酒時に比べると、旨さがのっているため、昔から一夏越した冷やおろしは旨いとされている。
● 瓶香
ガラス製の瓶に長期間日本酒を入れておいたときに、保存温度や紫外線の影響でつく瓶の臭い。
● 瓶火入れ法
日本酒を瓶詰してから加温する方法。
● フクノハナ
東北地方で開発された酒造好適米。
● 含み香
日本酒を口に含んだまま、鼻からゆっくり息を抜いたときに感じる香り。「口中香」ともいう。
● 袋香
酒袋に入れて搾った日本酒につく、酒袋の臭い。程度によってはろ過することで消える。
● 腐造
仕込み中に日本酒が腐って、ダメになること。
● 蓋麹法
手造りによる麹造りの一つの方法。幅50cm~60cm×奥行30cm~40cm×高さ6cm~7cmの木製の蓋(箱)に麹米を入れて丁寧に麹を育成させる。特に、吟醸酒用の麹造りの用いられる方法。
● 普通アル添酒
普通酒の1カテゴリー。米・米麹・醸造アルコールを原材料として造られた日本酒。醸造アルコールの添加量には決まりがある(白米1トンあたり120L以上280L以下である)。精米歩合には決まりがない。
● 普通酒
純米酒に、増量の目的でいろいろな物を混ぜて造った日本酒。なんと、全日本酒の流通量の八割を占める。
● 槽頭
搾りの工程を取り仕切る責任者。
● 槽
醪を搾る器具。幅1.5m×奥行3m×高さ3mくらいの木製の搾り器。醪を酒袋に入れてこの槽に重ねて積み、上部より圧力を加えて搾る。
● 踏込み粕
上槽が終わって残った板粕を夏まで密閉し、自らの酵素によって軟らかくなった酒粕。大変栄養価が高い。
● 並行複発酵
日本酒の造りにおける最大の特徴。また、独特の醸造方法であり、世界的にも例がない複雑な発酵法。麹によるデンプンのブドウ糖化と、酛におけるブドウ糖のアルコール化を一つのタンク内で並行して同時に進行させること。
● 坊主
発酵している醪表面の泡が「地」の状態になった時、醪表面に何も浮いていない状態を指す。
● ボーメ計
醪のエキス分を計るときに用いる比重計。醪が若い時点で、大雑把にエキス分を計る。日本酒度計は、発酵が進みもう少し詳しくエキス分を知りたいときに用いる。
● ボーメ度
発酵が若い時点での醪内のエキス分の度合(量)。
● 本仕込み
「本醸造酒」と同義で使われているのが一般的だが、稀に本仕込みと銘打った純米酒もある。
● 本醸造酒
米・米麹に、香味調整の目的で醸造アルコールを加えた日本酒。醸造アルコールの添加量は、使用白米1トンにつき120ℓ以下(白米重量の10%以下)。精米歩合は70%以下。
● 本玉泡
発酵している醪表面の泡の一つの状態を指す。玉泡の二期目辺りの状態で、「前玉泡」がまだ少し小さくなった頃の泡をいう。
● 仲仕事
麹を造る際、その途中で行う品温調整(麹の攪拌)作業のこと。盛り後7時間~9時間経つと再び麹の品温が上がるため(34℃~36℃)、麹米を良く攪拌して酸素を供給し品温を下げえてやる作業。手入れ後は麹米を広げ6cm~7cmの厚さにする。
● 仲添
三段仕込みの二回目。単に「仲」ともいう。
● 中取
上槽した時、二番目に出てきた日本酒。主に、槽を使って搾った日本酒を指す。酒袋を槽一杯に積んで、圧力をかけて出てきた日本酒。
● 生酒
まったく火入れをしていない日本酒。通常、日本酒は二回の火入れ(加熱殺菌)を行うが、両方ともしないで出荷された日本酒をいう。しかし、日本酒本来の旨さはのっていない。若々しさを楽しむ日本酒。
● なましゅ(生酒)
搾った後から、最初の火入れをする前までの日本酒を指す現場用語。
● 生貯蔵
二度の火入れの内、最初の火入れ(貯蔵前)をしないで生のまま貯蔵し、二度目の火入れ(瓶詰前)だけ行った日本酒。生貯ともいう。
● 生詰
二度の火入れの内、最初の火入れ(貯蔵前)だけをして、二度目の火入れ(瓶詰前)の火入れはしない日本酒。
● 波返し
蒸米を冷ます方法の一つ。通常、蒸米は布に広げて放置し、自然に冷ますが、波返しは蒸米を約30分ほど布に包んで放置し、次にそれを広げて約30分ほど放置。これを数回繰り返す方法。現代ではほとんど見かけない。
● にごり酒
発酵完了直前の、甘味の強い醪をそのまま荒濾しした日本酒。白く濁って、アルコール度数も高く、独特の舌触りと喉越しに特徴がある。本当に良いにごり酒は、光をあてずに冷蔵庫で一年ほど寝かせると、トロッとした旨味が味わえるようになる。
● 日光臭
日本酒に日光があたって生じる特異な不快臭。
● 日光着色
日光の影響で着色すること。
● 日本酒度
日本酒内のエキス(アミノ酸や糖分等)の量。
● ぬり破精
麹を造る時に使われる言葉。破精の一つの状態を指す。米の全表面に菌糸が食い込んでいるが、食い込み具合は浅い。力が弱く溶けも悪い。腐造の危険もあるが、使えなくはない。
● 熱酒瓶詰法
瓶詰する前に行う火入れ方法の一つ。日本酒を一度温めて瓶詰する方法。
● 濃醇
酸味と糖分、ともに多い日本酒のこと。
● 濃醇甘口
酸味と糖分、両方とも多いが、コクがあってまろやかな日本酒。
● 濃醇辛口
酸味と糖分、両方とも多いが、コクがあってキレがある日本酒。
● 高泡
発酵している醪表面の泡の状態を表す。留添後一週間ぐらいで岩泡が高く盛り上がり、凹凸がなくなってきた状態。果実のような芳香が出てくる時期。
● 暖気(だき)
酛を造るとき、酛桶内での米の糖化を部分的に促進させてやるために行う温度上昇作業のこと。
● 暖気樽
暖気をする時に使う樽。極上の吟醸酒を造るのには、欠かせない重要な作業だが、手間がかかり、面倒なためこの作業を嫌がる蔵が多い。また、この作業を「アンカ」で行う蔵もあるが丁寧な仕事はできない。
● 種麹
麹を造る‘種’という意味。日本酒は黄麹菌を使用。
● 玉泡
発酵している醪表面の泡の状態を表す。落泡の次の時期で玉状となった泡をいう。
● 樽酒
木製の樽(通常は杉)で貯蔵し、木香のついた日本酒。
● ダレ
酸味が薄く、甘さが浮いて味にしまりがないこと。「ボケ」ともいう。
● 段掛法
仕込み時、段階(三段仕込み等)を追って仕込む方法。段仕込みともいう。
● 炭素濾過
日本酒に活性炭素を入れ、不要となった酵素や雑味等を吸着させること。使用量が多過ぎると、味も素っ気もない日本酒になってしまう。
● タンパク混濁
火入れ後の日本酒が白濁すること。「白ボケ」ともいう。
● 淡麗
酸味と糖分、両方ともに少ない日本酒。
● 淡麗甘口
酸味と糖分、両方とも少ないが、さっぱりしてまろやかな日本酒。
● 淡麗辛口
酸味と糖分、両方とも少ないが、さっぱりしてキレがある日本酒。
● 地
発酵している醪表面の泡の状態を表す。発酵の最後の状態で、玉泡が消える時期。
● 中温速醸酛
速醸系酛のひとつで、育成期間が七日ですむので、現在では速醸系酛の主流になっている。
● 貯蔵
最初の火入れが終わった日本酒を、蔵内の冷蔵庫(タンク)に入れて寝かせること。
● 貯蔵年数
貯蔵タンクに日本酒を移してから、貯蔵を終えた時までの年数。一年未満はカット。
● 貯蔵品温
貯蔵中の日本酒の温度のこと。「常温貯蔵」と「冷蔵貯蔵」がある。
● チリメン泡
発酵している醪表面の泡が「地」の状態になった時、醪表面に薄く何かが浮いている状態を指す。
● 突破精
麹を造る時に使われる言葉。破精の一つの状態(破精込み具合)を指す。米の表面の一部に破精ていない部分がある状態。しかし、破精ている部分は盛り上がり、内部への破精込み具合も深い。糖化力やタンパク質分解力もなかなか強く、吟醸酒のような淡麗酒に適している。
● 造り
米を発酵させ、日本酒を造ること。「仕込み」と同義。酛に麹と蒸米と水を加えて、並行複発酵させる工程。
● 付け香
香りを人工的につけること。特に香りを特徴とする吟醸酒に見られる。醪の発酵中に発生する香気を集め、それを冷却して抽出したエキスを出来上がった日本酒に再び添加し、あたかも初めから真っ当に仕込んだ日本酒のように香らせること。「ヤコマン」と同義。
● 積み替え
麹を造るとき、その途中で行う品温調整のこと。
● つわり香
腐造性乳酸菌が大増殖してもたらす悪臭。ジアセチルという物質がその正体である。妊婦が嘔吐をもよおすような気持ち悪い臭い、といったところからのネーミング。
● 低温貯蔵
貯蔵を低温で行うこと。「冷蔵貯蔵」ともいう。
● 出麹
出来上がった麹を麹室から出して布に広げて放冷すること。仕舞仕事後、酛用麹で約十二時間後、掛米用麹で約八時間後に出麹となる。
● 杜氏
「とじ」ともいう。元来は「刀自」という字があてられていた。日本酒造りの技術面をすべて統括する総責任者であり、酒質など大きな決定権がある。蔵人の人的管理も行う。一人一蔵。現在では酒造技能者と呼び、資格としては酒造技能検定・一級技能士をもつひとが多い。しかし、大事なことは資格ではなく、天性の味覚であり、人望である。さらに、経営的センス・社会動向における判断も必要とされてきている。
● 特別○○酒
使用原材料や製造方法などが、通常の材料や方法以外で造られ、それが客観的事項をもって説明・表示できる日本酒。たとえば、「特別本醸造」である。
● 床麹法
手造りによる麹造りの一つの方法。麹室にて、大きな台(床)の上に白布を敷き、そこに蒸米を広げて麹を造る。手造りの製麹方法としては一般的な方法。
● 床揉み
蒸米を揉み床の上で手入れをしてサバき、蒸米の温度を30℃に下げる作業のこと。麹室で、揉み床の上に白布を敷き、その上に蒸米を広げて数人の手で混ぜる。
● 留添
三段仕込みの最後(三回目)。単に「留」ともいう。仲添の後に、再び、麹・蒸米・水を加える。
● サエが悪い
濾過が不十分であったり、火落ちなどのある不良酒を指す。
● 酒袋
醪を槽で搾る場合に使う、醪を入れるための袋。昔は「木綿に渋柿」といって、木綿を柿の渋で染めた袋が良いとされたが、現在では化学繊維が多く使用される。
● 酒米
一般的には、日本酒造りに用いるお米すべてを指すが、現場感覚では酒造好適米のこと。
● 雑味
日本酒の味覚物質のバランスが悪く、イヤミに感じ、くどく、汚い味をいう。雑味のある日本酒を「ガラが悪い」などと呼ぶ。
● 酸臭
腐造した日本酒に多く見られる不快な臭い。饐えた臭い。醪のアルコール醗酵が微弱になって、腐造性の乳酸菌が増殖して出た臭い。
● 三段仕込み
造りの工程中、酛に麹・蒸米・水を一回として、それを三回に分けて加え、日本酒を造る方法。一回目を初添、二回目を仲添、三回目を留添という。
● 酸度
日本酒の中にある酸の量のこと。数値が大きいほど辛く感じられる。
● 三倍増醸酒
普通酒のひとつのカテゴリー。本来の日本酒に過度の醸造アルコールと調味液(糖類・酸味料・調味料など)を添加したお酒。純米酒の約三倍の量となるためにつけられた名称。
● 雫酒 槽や機械を使わずに、「首吊り」あるいは「袋吊り」といった方法で搾られた日本酒。純度が高く、コクのある味が特徴。
● 仕舞仕事
麹を造る際、その最後に行う品温調整(麹米の攪拌)作業のこと。麹米を広げ、米層をつくり表面積を大きくし、品温の上昇を防ぎながら水分の蒸発を促す。
● 蛇管
火入れする時に使う螺旋状の管。これに日本酒をとうして、最初の火入れを行う。但し、吟醸酒の火入れではこの蛇管は使わず、小瓶に少量ずつ分けて入れ、お燗をする要領で火入れするか、プレート式熱交換機を使うのがこだわりである。
● 酒化率
醪を搾った時に採れた日本酒の量のこと。仕込みに使った白米の量に対して、どれだけ日本酒になったかの比率。酒化率の%数値が大きいほど、日本酒になった量も多い。しかし、極上の吟醸酒の酒化率は低いのが普通。
● 熟成
日本酒を熟して、香味を丸くし、お米本来の旨さを生ませるために寝かせること。
● 熟成香
熟成させておいた日本酒によって生まれる良い香。その香りの主体はフラノンと呼ばれ、老酒に近い香りといわれる。
● 酒造好適米
酒米の中でも、特に日本酒造りに適したお米のこと。本醸造酒・純米酒・吟醸酒ようには各々三等~特上までの厳格なランク付けがあり、[大粒]「心白がある」「軟質性」「たんぱく質や脂肪が少ない」「吸水が早い」という特徴がある。
● 上槽
醪を搾ること。「日本酒」と「酒粕」に分離する作業で、醪を酒袋に入れて搾る方法と、機会で搾る方法がある。
● 醸造アルコール
デンプン質または含糖質物質を原料として醗酵させ、そして蒸留した無味無臭のエチルアルコールをいう。
● 醸造糖類
トウモロコシやイモのデンプンからつくられるブドウ糖、そして水飴白糠糖化液などを総称した名称。
● 醸造用水
日本酒造りに用いる水全般を指す。当然、天然水が良である。用途としては次の三つがある。①洗米・浸漬用②仕込み用③雑用
● 白糠糖化液
精米した後に出る白糠を液状に糖化したもの。これを日本酒に混ぜて甘味調整をする。糠=米という考え方をする酒蔵が存在し、あろうこと糠を醗酵させて日本酒もどきをつくり、売ろうとしているらしい。また、生産量をかせごうとして本醸造酒や純米酒にもこの液体を内緒で入れている酒蔵もあるらしい。
● 新酒
醪を上槽して出てきた日本酒。「搾ったばかりの日本酒」という良いイメージが強いが炭酸ガスを含んでいて舌にチクチクと触り、香り華やかであるが、旨さはのってない。
● 真精米歩合
通常の精米歩合は、精米した後のお米の重さを、精米する前のお米の重さで割って算出する。真精米歩合は、精米後のお米千粒の重さを精米前のお米千粒の重さで割って計算する。
● 浸漬
精米されたお米を水に漬け、精米で失った水分を「必要な分だけ」お米に吸収させること。
● 心白
お米の中心にある白い部分。酒造好適米にみられる。
● 筋泡
醗酵している醪表面の泡の一つの状態を指す。留添後二日から三日で出る、数本の筋状の泡。醗酵がスタートしたことを示す。
● スベリ麹
枯草菌(納豆菌)いう雑菌が繁殖した使えない麹。
● 製麹
麹を造ること。
● 製造時期
販売する目的で容器に充填し、密封した時期。日本酒が造られた時期ではない。
● 精米
お米の不要な部分を取り除き、お米を磨くこと。現在は、コンピューター制御による縦型精米機により精米されるのが一般的である。
● 精米歩合
お米の磨き具合のこと。精米歩合(%)=白米重量(㎏)÷玄米重量(㎏)×100で表す。
● 積算温度
貯蔵~熟成期間を決める一つの目安。熟成までに必要とされる貯蔵期間を、貯蔵温度の累積を一つの参考値として決める方法。
● 責め
上槽した時、最後に出てきた日本酒。主に、槽を使って搾った日本酒を指す。中取の後、酒袋の位置を変え、その上から圧力をかけて搾った日本酒。
● 洗米
精米されたお米を洗うこと。第二の精米と言われるほど重要な作業。お米についた糠を取りきれいにする。
● 総破精
麹を造るときに使われる言葉。破精の一つの状態を指す。製麹中に、お米の全表面および内部にまでも菌糸が深く食い込んでいる状態。糖化力とタンパク質分解力が強い。酛麹用、あるいは山廃のような濃醇酒に適している。
● 速醸
酛内に乳酸を得る方法の一名称。酛を造る時、既製の乳酸(醸造乳酸)を用いて、酛を造る方法。明治末期の発明。酸味が少なく、優しくソフトな酒質になるため、吟醸酒などに良く使われる。
● 速醸系酛
既製の乳酸を使って造られた酛の総称。「高温短期速醸酛」「中温速醸酛」「高温糖化酛」「希薄酛」などがある。